２０１７年１月
畑　悳郎（S４０年卒会友）

　２０１５年５月９日、やっと第１００巻のＤＶＤを池田さんにお渡しできる日がきました。２００８年７月の第一回企画会議から７年の歳月でした。
　この企画は東京クローバークラブ創立５０周年企画としてスタートしました。発案は市島章三さん（昭和３４年卒）で、５０周年の年、２００８年の７月、新大久保の辻スタジオの練習後にルノアールで初めての打ち合わせが持たれました。プロジェクトのメンバーはリーダーの市島さん、森本潔さん（昭和３６年卒）、岩木六馬さん（昭和３９年卒）、池田研一さん（昭和４２年卒）、幹事長の荒井直さんその他数名の方々でした。プロジェクトチームは市島さんがチーフで森本さん、岩木さん、池田さん、私と５人のチームで、市島さんから趣旨の説明があり、市島さんのご指名で私が制作を担当することになりました。ＣＤは作ったことがありましたが動画、ＤＶＤは未経験でしたが、興味があったので挑戦することにしました。ＴＣＣの皆さんに手持ちのビデオテープを提供していただいたところ、３０本ほどでしたので、それほど手間はかからないだろうと考えていました。
　ところが、９月に市島さんから坪井高国さん（昭和３４年卒）が撮影された作品を提供してくださる、との連絡があり、市島さん、大友慶介さん（昭和３４年卒）と３人で八王子の坪井さん宅を訪問し、テープを見せていただきました。坪井さんはご存知の通りテレビ朝日にお勤めで撮影のプロ。長年クローバーの活動を撮影しビデオテープ（ＶＨＳ）に編集されていましたが、これらをデジタルカセットテープに再編集され、この１００本余のデジタルテープを提供していただくことになったのです。テープのケースにはきちんとタイトルと日にちを記載したテープが貼られており、「クローバークラブ活動の記録」という小冊子を作っておられ、坪井さんのライフワークとしてのこれらのテープへの執念、思い入れの深さが伝わってきました。
　最初は３０本ぐらいと思っていたのですが大変なボリュームになってきました。早速ＤＶＤ編集・制作の手引書と編集ソフトを購入し、大わらわでＤＶＤ制作の勉強をはじめました。初めての事なのでわからないことが多く、ソフト会社に電話やメールで問い合わせたりしましたが、なんといっても坪井さんに教えていただいたことが多くとても助かりました。坪井さんからデジタルカセットプレーヤーを拝借し、テープの内容を確認しＨＤＤレコーダーにダウンロードし、バックアップＤＶＤを作り、これをＰＣにダウンロードし、という作業が始まり、これが思った以上に時間がかかりました。すべての映像をＰＣにダウンロードし終わったのは２００９年の３月で、それからジャケットのデザインのサンプルをつくり、プロジェクトの皆さんに見てもらい、大枠が決まり、本番の制作に取り掛かり、第１巻の完成品ができたのが２００９年の８月で、９月に第３巻の「第九演奏会」のＤＶＤを坪井さんが入院されている八王子の病院に持ってゆき、見ていただきとても喜んでいただきましたが、その２ヶ月後の１１月に坪井さんは昇天されました。もっといろいろ映像の編集方法などで教えていただきたかったのですが誠に残念なことでした。
　実際に映像を見て行くうちに構成に変更があり、全１００巻が確定したのは２０１１年の３月でした。この間作業を進めて行きましたが、ＤＶＤを作るのはＰＣの性能が低く、少し作業しては保存しなければＰＣがスムースに動かず、あるときは保存するのを忘れて作業を続けていたところＰＣが動かなくなり、保存していなかったので初めからやり直したことも何度かありました。これでは作業がはかどらないので思いきって性能のよいＰＣに買い替え、保存用の外付けＨＤＤはクラブから支給してもらいました。このようにして作業を本格的に進めていましたところ、２０１２年１１月に妻が両親の介護疲れで寝込んでしまい、１週間ほどで起きられるようになりましたが記憶障害になり自分の身の回り以外はなにもすることができなくなりました。私は慣れぬ家事と介護で手いっぱいとなり映像ライブラリーの仕事は大幅に遅れてしまいました。この間プロジェクトメンバーをはじめ皆様からあたたかいお言葉をいただき、とてもありがたかったのです。それから２０１３年５月にはプロジェクトリーダーの市島さんが昇天されてしまいました。市島さんにはいろいろ教えていただき、もっと教えていただきたかったのですがとても残念です。このようなわけで２０１５年の５月にやっと作業が終わりましたが７年もかかってしましました。
　５０周年記念企画としてスタートしましたが、坪井さん、市島さんの昇天、妻が体調をくずしたりして、ＤＶＤの作業が進まず、何年もかかってしまいましたが、森本さん、岩木さん、池田さん、メンバーの皆様に支えられ、やっと完成することができました。また多くの方から映像を提供していただいたり、資料を拝借したりいたしました。あらためて皆様に感謝・感謝です。最後になりましたが、天国の坪井さん、市島さん、ありがとうございました。