〈グリーサルーン・デジタル版〉

三蜜回避を逆手に取る――横糸、縦糸、斜め糸の関係づくり
S44卒 同期生一同

記事掲載日:2021.03.25



同志社グリークラブOBの我々は、ことあるごとに集まって歌いたい・ダベりたい想いの全身ニ充満シタル丈夫なのでしょうか。

30年ほど前に、卒団30年の同期生が中心になって、前後3年、合計7年代が一堂に会す30年会が企画されました。社会人現役バリバリ50-60歳が秋の一日、京都に集う。後退し白くなり始めた髪を振り乱して往時のハーモニーを改めて体感する。大いに飲み・食い・語り、人生の重みを纏ったお互いに破顔しました。この企画は、40年会、50年会へと広がり、10年間に7回も集う機会となりました。

60年会もという動きまであった2020年は、突然の新型コロナ。中断を余儀なくされました。なにせ絵に描いたような「三蜜」で、参加者は圧倒的に高齢者ですから。

前年秋に50年会の幹事学年。同期全員参加で益々盛り上がったS44組は、「世の中テレワークなんて言うとるで、ワシらはオンライン飲み会でもやろか」となり、2020/5/31に第1回。奥方も含め参加自由で始まりました。従来から、S44組は花見、野外バーベキュー、柿狩りなど何かと機会を作っては年に数回、家族ぐるみで、主として関西在住者が集まってました。オンライン飲み会では居場所は問わず、移動時間も掛かりません。ウンと集まり易い訳です。各回の参加者は卒団者14(2名他界)のうち8名前後。半数弱が九州、関東です。原則隔週の日曜午後に開催。この3/2120回を超えます。他学年のお客様を呼ぶこともあります。

これは、OB会の云わば横糸です。勿論、歌わないデジタル雑談会には抵抗のある友も、PCやスマホは苦手な同期もいるけど、メールは確実に届くし、お互いの近況、特に入院や家族の訃報などは網に掛かります。話題は自ずと我らの若かりし時代やOB会、現役グリークラブの話になります。コロナ禍の活動を応援しようとの募金活動にも一役買ったし、2021/1/17緊急事態宣言下での充実した定演。そのオンライン視聴。ここまでやり抜いた現役諸君、支援を続けたOB会運営理事会、応援したOB各位などへの賞賛も飛び交いました。OB会への様々な提案なんかも、「こうあるべき」に加え「どうやりゃいいか」をまとめてOB会に投げてもみました。Youtubeは?ホームページは?ボイトレは?他所(早・慶・関)は?ワシらが手伝える事ある?現役はどうしたいのかな?などです。

仮想の集りは東京クローバークラブにも飛び火し、2020/8/15第1回のオンライン顔合わせ開始。4週間に1度、練習時間と同じ土曜日午後に集まっています。こちらは、年次を大きく跨いだ縦糸の繋がりです。在籍28名中体調不良などで退部意向者が3名、80歳台が10名という高齢者組織ですが、これまで8回の集りへの参加者は20名前後。年頭には年次総会もオンラインで開催しました。

オンライン顔合わせに至るには、2020/4/14から始めた「近況報告リレー」があります。2020/2/17に現役定演のOBとの合同演奏を最後に、歌えず。練習再開の見通しも立たなくなり、このままでは東クロが自然消滅しかねない。歌を忘れた元グリーメンは話す機会も話題も限られ枯れて行く。と危機感が生まれ、急ぎメーリングリストを整備、各人にメールを見る習慣を促し、TTBBのパート別のリレー開始。一斉にほとんどの人が返信すると、一過性となる。一人づつでは間延びするし、タスキが途切れる懸念もある。パート別のチョットした競争意識を持ってもらい、電話で、シツコクPCやスマホメール利用の手助けもして、兎に角「俺にも気を掛けてくれる人/掛けなきゃいけない人が居る」と実感してもらい何とか気持ちを繋ぎとめようとの思いでした。4ヶ月経った8月には28人目の最終のタスキが戻ってき、それを見届けたかのように、東クロの元指揮者、小林香太さん(H1)が新赴任地アメリカ・オハイオ州からBLM運動の動きなどホットな話題も交えた報告が届きました。オンライン顔合わせは次の出し物でした。

斜め糸は意外なところからでした。S41組がS44組のオンライン飲み会を見て、自分たちのデジタルミーティングをやりたい由。S41組の世話人Zoom会にS44組から数名呼ばれて繋がりました。どう発展するか、乞うご期待。

これらは実体験した数例です。他の学年や地域でも様々な繋がりがあると思います。網羅してなくてもメーリングリストはあるでしょう。近隣県のOBが年代を超えて集う会もあった筈です。同志社グリーOBだけでない合唱団で歌う元仲間もいるでしょう。コロナ禍で会えない事を嘆くばかりでなく、逆手に取り、メーリングリストを充実して、デジタル利用をチョット高度化すると、横糸・縦糸・斜め糸を太くできます。歌う想いの全身ニ充満シタル丈夫と共に豊かな人生を紡ぐ足掛かりにと願う次第です。

文責:坂下知司